ヒトラー
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エリザベート・バートリ
ジル・ド・レ
エドゲイン
魔女狩り
ルイ17世
人間は残酷だ。もの凄く恐ろしい。
人は時に、生きているだけで、ある日突然、とてつもなく凄惨な目に会うことがある。
目を背けたくなるような、口にもしたくないような、あまりに苛烈な痛みを与えられ。
何もしていないのに、たまたま、そこに在ったという、それだけの理由で。
地獄に突き落とされることがある。
俺は。
日本人に生まれて、平和で、何となく生きていて。
たぶんこのまま穏やかに人生を終えることが出来るだろう。
だが、生まれ変わりがある、としたらどうだろう?
輪廻転生。
俺は次の、まったく別の生物に生まれ変わる。
それは虫かもしれない、魚かもしれない、鳥かもしれない。
そんな生物だったら良い、何の心配もない。
だが、また人間だったら?
たぶん次の人生も平和だろう、その次も。
でも何度も人間に生まれ変わったとして、その全てを平和に終えられるか?
幾度目かの人生では、想像を絶する痛みを与えられ、叫び、恐怖し、絶望する。
何度も人間に生まれ変われば、きっといつかはそんな最悪が我が身を襲うこととなるだろう。
無論、人間はいずれ滅びる。
それで終わりか? 終わらない。人間が生まれたのだ、知的生命体はまた必ず発生する。そしてその生物は、人間と同じようにきっと残酷だろう。
時間は無限だ。
つまり地獄もまた無限に起こるということだ。
たとえこの宇宙が終わったとしても、宇宙はまた生まれるし。
多元宇宙論という話しもある。
俺が、あなたが、無限に存在するという話し。
俺の意識が、あなたの意識に替わるという話し。
あなたが、俺に。
今、世界のどこかで凄惨な目に会っている人があなたに成るという話し。
恐ろしいね。