ソノヒマデ

俺の日々だったり思うことだったり

ADHDの苦悩。自分がどうしようもない馬鹿と気づくまで

最初は、なんでも出来ると思った。
最初というのは中学生くらいの頃。まだ働くということをまったく経験してない頃だ。中学生の時点で既に勉強もスポーツもできない方であったが、それでもそれはまだ本気を出していないから、本気を出していないだけ、と思っていた。

本気を出して打ち込めば、自分には出来ないことがないと。

漫画家でも、小説家でも、スポーツ選手でも、自分が本気で頑張りさえすれば何がしかの特技に秀でた存在、プロと呼ばれるものに成れると思って疑わなかった。

しかし高校生になって幾つかのバイトを経験するうちに、あれ?と思い始める。皆が当たり前にできていることが俺だけできない。俺だけ何度も同じことを注意される。俺だけまかせてもらえない仕事がある。あれ?俺はもしかしたら馬鹿なのかもしれない――薄々だが、そう感じ始める。
それでも、それでもまだ、俺は本気を出していない。
出来なかったのは、まだ本気ではなかったから。
本当の本気で打ち込めば――

そうして俺は、本気で打ち込んだ。
夢に、仕事に、趣味に。
あれがダメだったからこれをやってみる。このやり方がダメだったからこうやってみる。
手を変え品を変え、工夫を凝らし、様々なものに、時には一点に、本気で打ち込んだ。
だが、何一つできない。
あれ?あれれ?
俺は、優秀ではない。本気で打ち込んでもできない。
それでも、それでもまだ。
己が優秀でないことはわかった。プロと呼ばれる存在にはなれないことは理解した。しかしこんな俺でも本気で打ち込めば、せめて人並みに出来ることがこの世の中に一つくらいはあるはずだ。

普通に働いて、少しづつ認められて、出世して、給料も上がって。
結婚して、家を買って、子供を育てて――そんな普通の幸せくらいは、叶えられるはずだ。

だが。
10年、一つの会社に勤め続けて。
文字通り人一倍の努力をして、下された評価が、「馬鹿」というものだった。

「お前が一番馬鹿だ」

直属の上司から言われたものだった。同じ部署に10人の社員がいて、俺が一番馬鹿だというもの。仕事をする能力がないという評価。
酷い暴言である。だが、俺自身はそれを言われて、そうだな、と納得していた。事実、俺の仕事ぶりは酷かった。上司の暴言以上に。だから、ムカつく気も起こらず、正当な評価だなと思った。

最初はなんでも出来ると思った。でも俺は優秀などではなく。でも頑張れば何か一つくらいできることがあると思った。でも何もできなくて。それでもまだもっと本気を出して頑張ればせめて普通になれると思った。

だが、どんなに頑張ってもダメだった。
普通にすらなれない。
劣る――

俺は自分が思っていたよりもずっとずっと馬鹿で、人よりも劣る存在だった。
そう自覚したのはごく最近で、はっきりとそれが判明するまでに約20年という長い時間とそれ以上に大変な労力を要した。
本当に大変だった。
自分で自分が馬鹿であると認め、確信に至るまで。
そして、全てが無駄だった。
努力の一切が絶対に届かないゴールに向かう為のものであったから。
自分が劣ると確信する以外に得たものは何もない。
最低だ。あんまりじゃないか。

俺の人生は何だったのだろう。